みなさんこんにちは。群馬県の大規模木造建築専門店『大規模木造建築ぐんま』です。
「老人ホームの建設を検討しているが、木造はどうなのだろう?」「木造の老人ホームは、鉄骨造と比べて建築費用や機能面でどんな違いがあるの?」といった、木造の老人ホームに関する疑問をお持ちではないでしょうか。
かつて老人ホームといえば鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)が主流でしたが、近年、その常識は変わりつつあります。建築技術の進歩により、木材の持つ温かみや機能性を活かした木造の老人ホームが、事業者様からも入居者様からも選ばれるようになっているのです。この記事では、木造老人ホームの建築費用の相場から、事業者側・入居者側双方のメリット・デメリット、そして計画時に必ず知っておくべき耐火基準や補助金制度まで、大規模木造建築のプロの視点から徹底的に解説します。
この記事を最後までお読みいただくことで、木造老人ホームの魅力と実現性が明確に理解でき、事業成功に向けた具体的な計画を立てるための知識が身につきます。群馬県およびその近郊で老人ホームの新設や建て替えをご検討中の事業者様は、ぜひ最後まで読んでみてください!
なぜ今「木造」の老人ホームが注目されるのか?
近年、国が公共建築物等木材利用促進法を推進している(※)こともあり、学校や役所だけでなく、老人ホームのような福祉施設でも木造化が急速に進んでいます。その背景には、木造建築が持つ多くのメリットが、現代の介護施設に求められるニーズと合致しているからです。コスト面だけでなく、入居者や職員の心と身体にも良い影響を与える木造の魅力を解説します。
(※林野庁、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法))
木造で老人ホームを建てるメリット
木造老人ホームは、事業者(建てる側)と入居者(住む側)の双方に大きなメリットをもたらします。
【事業者側】木造老人ホームの建築費と経営面のメリット
- 建築費用と工期を大幅に削減できる 木造老人ホームの最大のメリットは、コストパフォーマンスの高さです。鉄骨造やRC造と比較して、木造は坪単価を大幅に抑えることが可能です。これは、材料費そのものが比較的安価であることに加え、部材が軽量なため大掛かりな基礎工事が不要になり、工事全体の費用と工期を削減できるためです。工期が短いことは、人件費の削減だけでなく、事業を一日でも早く開始できるという経営上の大きな利点にも繋がります。
- 減価償却が早く、高い節税効果が期待できる 企業の財務戦略においても、木造は有利な場合があります。税法上の建物の法定耐用年数は、構造や用途によって定められています。例えば、木造の事務所用建物は24年、鉄骨造(骨格材の肉厚が3mm超4mm以下)の事務所用建物は27年と設定されています。木造の方が耐用年数が短くなるケースがあり、その場合、一年あたりの減価償却費を大きく計上できるため、法人税の負担を軽減する効果が期待できます。
- 補助金制度を活用しやすい 国や自治体は、環境保護や林業振興の観点から、木材の利用を積極的に推進しています。そのため、地域産材の利用や、省エネ性能の高い木造建築に対して、様々な補助金制度が用意されています。これらの補助金を活用することで、初期投資の負担をさらに軽減することが可能です。
- 企業のイメージアップとPRに繋がる 木造建築は、持続可能な社会を目指すSDGsへの取り組みとして、企業の社会的価値を高めます。環境に配慮した施設であることは、入居者やそのご家族、そして地域社会からの信頼と共感を得るための強力なPRポイントとなります。
【入居者・職員側】木造老人ホームの健康・快適性におけるメリット
- 木の温もりと香りがもたらす癒やし効果 木材が持つ自然な木目や温かみのある手触り、そして心地よい香りは、人の心を落ち着かせる効果があると言われています。鉄やコンクリートの無機質な空間に比べて、木に囲まれた空間はストレスを軽減し、入居者に精神的な安らぎを与えます。これは、認知症の方のケアにおいても良い影響が期待されています。
- 優れた調湿効果で快適な室内環境を維持 木材には、室内の湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには水分を放出する「調湿効果」があります。この働きにより、室内は一年を通じて快適な湿度に保たれ、カビやダニの発生を抑制します。また、冬場の過乾燥を防ぎ、インフルエンザウイルスの活動を抑える効果も期待できるため、高齢者が健康に過ごすための最適な環境を提供します。
- 高い断熱性でヒートショックのリスクを軽減 木材は、コンクリートの約12倍、鉄の約480倍もの断熱性を持っています。木造の建物は外気の影響を受けにくく、室内の温度を一定に保ちやすいのが特徴です。これにより、冬場の部屋間の急激な温度差によって起こる「ヒートショック」のリスクを大幅に軽減でき、入居者の安全を守ります。
木造老人ホームのデメリットと対策
多くのメリットがある一方、木造老人ホームには「火災」や「音」に関するデメリットが懸念されることがあります。しかし、これらは現代の建築技術と適切な設計によって十分に対策することが可能です。
デメリット①:火災への不安
「木は燃えやすい」というイメージから、火災時の安全性を心配される方が多くいらっしゃいます。しかし、現在の建築基準法では、老人ホームのような施設には厳しい耐火基準が定められており、木造であってもその基準をクリアしなければ建設できません。
対策
- 燃えしろ設計: 太い木材は表面が燃えても炭化層ができ、内部まで燃え進むのに時間がかかる性質があります。この性質を利用し、火災時にも構造が維持できるようあらかじめ部材を太く設計するのが「燃えしろ設計」です。
- 耐火被覆: 燃えにくい石膏ボードなどで木材を覆うことで、耐火性能を高めます。
- スプリンクラーの設置: 法令に基づき、スプリンクラーなどの初期消火設備を適切に設置します。
これらの対策を組み合わせることで、木造建築でも鉄骨造と同等以上の安全性を確保することが可能です。
デメリット②:遮音性の問題
木造はRC造などに比べて、生活音が響きやすいというデメリットがあります。特に共同生活を送る老人ホームでは、プライバシー保護の観点からも音への配慮は不可欠です。
対策
- 遮音材・吸音材の使用: 壁や床の内部に高性能な遮音材や吸音材を充填することで、音の伝わりを大幅に抑制できます。
- 二重床・二重壁: 床や壁を二重構造にすることで、音の振動を伝わりにくくします。
- 間取りの工夫: 居室と共有スペースの間に収納を設けるなど、間取りを工夫することでも音の問題を軽減できます。
木造老人ホームに関するQ&A
Q1. 木造の老人ホームは、何階建てまで建てられますか?
A1. 建築基準法で定められた耐火基準を満たすことで、3階建てはもちろん、それ以上の階数の木造老人ホームを建てることも技術的には可能です。最新の耐火技術と設計ノウハウがあれば、都市部でも安全な木造施設の建築は十分に可能です。ただ、高層建築物になるほどコストは上がってしまうため大規模木造ぐんまでは1,2階の建物を推奨しております。
Q2. 建築費用は鉄骨造と比べて具体的にどれくらい安くなりますか?
A2. 一概には言えませんが、建物の規模や仕様にもよりますが、本体工事費において鉄骨造に比べて10%~20%程度コストを削減できるケースが多くあります。延床面積500坪の老人ホームであれば、数千万円単位でのコストダウンも期待できます。正確な費用については、ぜひ一度ご相談いただき、詳細な見積もりをご依頼ください。
まとめ
木造老人ホームは、かつての「火事に弱い」「大規模建築には向かない」といったイメージを払拭し、今や事業者と入居者の双方にとってメリットの大きい、非常に魅力的な選択肢となっています。
建築費用の安さや節税効果といった経営面のメリットはもちろん、木の温もりや優れた断熱性・調湿性がもたらす快適で健康的な住環境は、他の構造にはない木造ならではの価値です。懸念される耐火性や遮音性についても、現代の建築技術でしっかりと対策することが可能です。
私たち『大規模木造建築ぐんま』は、群馬県で長年にわたり大規模木造建築を手掛けてきた専門家集団です。コストパフォーマンスと、入居者に優しい空間づくりを両立する、最適な木造老人ホーム建築をご提案します。老人ホームの立ち上げに関するご相談やお見積もりは無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。